歯周組織再生療法を知る

インプラントは、顎の骨量(骨の密度・体積など)が十分でないと出来ない治療です。
歯が抜けると、その部分の骨は減少する傾向にあり、安定性、安全性に加え、機能面、審美面でも問題が出てきます。
しかし、顎の骨が足りずにインプラントが出来ない場合でも、歯周組織再生療法や骨移植によって治療が可能となるケースがあります。

歯周組織再生療法の種類

治療に用いる素材 長所 短所
①GTR 歴史があり症例も豊富 治療が難しい
適応範囲が狭い
②エムドゲイン®ゲル 適応範囲が広い 再生量が少ない
③GEM21S 適応範囲が広い コストがかかる

①GTRによる治療

GTRは、1980年代初頭に研究、開発が始まり、1990年代から世界中で広く応用されるようになりはじめた歯周組織再生療法です。
メンブレンと呼ばれる、ポリテトラフルオロエチレンから作られた素材を設置することで、失われた歯周組織の代わりに新しい歯周組織を再生させて、歯の支持構造を出来る限り元の状態に戻す方法です。

支持組織が不足している部分に、メンブレンと呼ばれる人工膜を置き、外部から不要な組織が侵入してこないように防御します。すると、メンブレンの下には歯の支持組織が再生をはじめ、ゆっくりと成長していきます。

GTRによる治療イメージ

②エムドゲイン®ゲルによる治療

この治療では、エムドゲイン®ゲルと呼ばれるエナメルマトリックスたんぱく質を用います。 このたんぱく質は、歯の発生期に重要な役割を果たすたんぱく質の1つであり、歯周組織を再生誘導することが可能です。

このたんぱく質はエナメル上皮が分泌するアメロジェニン・ファミリーの1つで、歯根形成時にヘルトウィッヒ上皮からも分泌されており、エナメル質の形成だけでなく、セメント質の形成や機能性を有した付着組織の発達に関わることが示されています。

その点に注目してスウェーデンのビオラ社(BIORA AB)が開発した製品がエムドゲイン®ゲルです。 現在の科学水準に基づく高い安全性確保の下、2008年5月現在、世界44ヵ国で使用されています。


③GEM21S

今、最も注目されている再生療法材であり、PDGFという細胞の成長促進因子とβ-TPCという基質から構成されています。

GEM21Sは、生物活性たんぱく(高純度組み換えヒト血小板由来成長因子rh-PDGF-bb)を骨伝導性基質(β-TCP)と組み合わせた再生医療の原理を用いて開発されました。

この完全合成移植システムは分子レベルで事象のカスケード(1つの反応から次々と連なった反応が起こる)を誘発することにより、創傷(様々な生体の損傷のこと)治癒を刺激するように設計されており、その結果、骨および歯周組織の再生を促進する生体適合材料です。

PDGF
生物活性たんぱく質であるPDGFは体内に存在する主な成長因子の1つであり、医学の分野では創傷治癒剤として安全性および有効性が確立しており、周囲の基質内に細胞を動員し、刺激することにより効果を発揮します。動物実験により、骨および歯周靭帯由来の細胞に対するPDGFの走化性、分裂促進作用が立証さ れています。

β-TPC
基質成分は骨空隙を充填し、細胞遊走および増殖とその後の基質沈着用の骨伝導性基質となることを意図した超多孔性合成βリン酸カルシウム材料です。この材料は種々の整形外科的応用において安全かつ有効に長い間使用されており、動物由来の生体材料でないためそのリスクを回避することが可能となっています。