従来インプラント治療を行うためには、骨の量が十分にあることが前提条件であり、骨量が足りない患者様はインプラント治療を行うことが出来ませんでした。
しかし、今まで治療が不可能であった患者様に対しても、骨造成によって十分な骨の厚みや幅を三次元的に確保することで、インプラント治療が可能になります。
更に骨自体を造成して治療を行うことで、審美的観点からも満足のいく治療を実現致します。
インプラント治療における骨造成は、歯の周囲の骨を、吸収した状態(下図3番目)から、抜歯直後の状態(下図1番目)に戻すことを目的としています。
歯が抜けたり、抜歯した後そのままにしておくと、時間の経過と共に歯の周囲の骨は吸収していきます。これは本来、骨が噛む力(機能圧)をしっかり加えられることによって維持されている仕組みが、歯が無くなることによって失われてしまうためです。
歯の内側の骨はもともと最大で0.7ミリしかなく、抜歯約6ヶ月後には垂直に40%、水平に50%収縮してしまいます。
もし、骨が吸収した状態のままインプラントを行っても、健康な歯と比べ、埋入した差し歯だけが長く見え不自然な状態になってしまいます。
審美的観点も踏まえたインプラントを行うには、インプラント周囲の組織(骨、歯肉)が抜歯直後の状態に近づいている必要があるのです。
骨の組織再生において必要な三要素は、
・骨を作る細胞
・細胞外基質(足場材と呼ばれるもの)
・増殖因子
であるとされています。
この3つの要素を揃える事で、身体の自然治癒力によって必要な細胞が組み込まれ、成長因子や血液が供給され骨を再生します。
GBR(Guided Bone Regeneration)とは、メンブレンという上皮組織の侵入をガードする膜を減少した骨の外側に設置し、その下に再生材料[自家骨(自分の骨)や人工骨など]を入れることで、骨の再生を促す治療法です。
メンブレンの素材、用いる骨には様々な種類があり、それぞれを組み合わせて治療を行います。
この治療法は、術者の技術によってその効果に大きな差が出ます。
メンブレンには大きく分けて吸収性のものと非吸収性のものがあります。
一般的に骨欠損の小さい場合には吸収性のものを使い、大きい場合には非吸収性のものを使います。それぞれにメリット・デメリットがあり、症状にあわせて最適なものを選択します。
| 吸収性 | 非吸収性 | ||||||||||
| 特徴 | 生体に吸収されるので、摘出の必要がない | 吸収されないので抽出の必要あり | |||||||||
| 種類 | GCメンブレン | Resolt | Guidor Matrix barrier | Vicryl | コーケンティッシュガイド | Biomend | Bio-Gide | Ossix-Plus | ゴアテックス | サイトプラスト | チタンメッシュ |
| 材料 | 乳酸/グリコール酸 | 牛アキレス腱由来 | 豚コラーゲン | 合成高分子系 | フッ素樹脂 | チタン | |||||
| メリット | 摘出の必要がない |
摘出の必要がない 吸収が遅い |
骨再生のスペースが確保できる | 感染のリスクが少ない |
露出しても感染しづらい 他と比較して機械的特性が高く、移植材が安定して維持できる |
||||||
| デメリット |
吸収が早く、骨再生のスペース確保が難しい 分解産物が抗原となり、炎症反応が起こる |
コシが弱い スペース維持が難しいため、他の支持素材との併用が必要 |
手術の難易度が高く、術者のテクニックに依存する 縫った歯茎が開いた場合、約40%の確率で感染を起こす |
症例データが少ない | |||||||
移植する骨は、同じ自家骨であったとしても、特性が変わります。
自家骨は骨組織再生の三要素が全て含まれているので、再生しやすいと考えられています。
ただ、今までの研究結果によると、自家骨が、他の骨に比べて優位に回復させるという報告は無いようです。
当院では、患者様一人一人の患部の状態に合わせて、自家骨だけでなく様々な素材を混ぜ合わせて使用します。
| 種類 | 自家骨 | 他家骨 | 異種骨 | 代用骨 | |||||||
| 分類 | 腰骨 | 頤部(下あご) | 下額枝 | BFDB | FDB | 牛由来の骨 | ハイドロキシアパタイト | βTCP | |||
| 再生の三要素 | 全て含む(3つ) | 1要素 | 2要素 | 1要素 | 1要素 | 1要素 | |||||
| メリット | 吸収する可能性低い | 入院の必要なし | 骨誘導のたんぱく質含む | 吸収しない | |||||||
| デメリット | 吸収する可能性高い | 入院の必要あり | 社会復帰に時間がかかる | 軽い麻痺が起こる可能性あり | 手術箇所が増えるので、腫れが倍になる | 未知の病原体の可能性を100%否定できない | 未知の病原体の可能性を100%否定できない | 吸収が早く、骨の出来る量が少ない | |||
口腔内(下顎枝)から採取した骨を貼り付ける治療法です。
異物を入れる必要がない、骨吸収が起こりにくい、感染などのリスクが低いという利点があります。
歯を水平方向に分割する治療法です。
予知性に関しての医学的コンセンサスが得られていない方法です。
歯を垂直方向に分割する治療法です。
位置決めが難しい方法です。
喫煙者の方は、白血球の循環が悪く感染しやすいリスクがあるとされています。
また、タバコに含まれるニコチンには血管収縮作用があります。インプラントが骨に結合する為には血液供給が大切であり、血液供給が悪い環境で手術を行っても良い治療結果が得られない場合があります。
当院では長く良好な治療結果を得たいと考え、禁煙の上治療に望むようにお願いをしております。
糖尿病患者の方は白血球が少ないことが原因で免疫力が弱く、傷が感染しやすく、治癒も遅いことがあります。
糖尿病をお持ちの患者様は、主治医の意見をお聞きの上、血糖値のコントロールを行い、口腔を清潔に保った上でインプラント手術を行う必要があります。